正しい運動療法で心筋梗塞・心不全を予防しましょう
心臓の病気は命にかかわる重大な疾患であり、日本人の死亡原因の上位を占めています。一度発症すると再発する可能性も高いため、発症・再発予防として「運動・薬・食事」のバランスの取れた取り組みが効果的と言われています。
本記事では、理学療法士向けに作成された公的資料やハンドブックを参考に、効果的な運動や予防に必要な知識を解説します。
1. 心筋梗塞と心不全を知る
心筋梗塞
心筋に酸素や栄養を送る冠動脈が血栓などで詰まり、血流が途絶えることで心筋が壊死してしまう病態です。急性心筋梗塞では命にかかわる重大な事態となります。
心筋梗塞の主な症状:
- 激しい胸の痛みが30分以上続く
- 冷や汗や吐き気、息苦しさを伴う場合がある
- 安静や薬の使用で発作が改善しない
- 肩や背中、首、左肩、左腕に痛みが放散する
※症状が出現し、心筋梗塞が疑われる場合は直ちに119番(救急車)を呼んでください。
心不全
心臓が悪いために、血液の渋滞や全身の臓器に十分な血液が送れなくなり、息切れやむくみが起こる生命を縮める病気です。
- 身体を動かしたときの息切れが強い(呼吸困難)
- 横になると苦しいので起きていたほうが楽(起座呼吸)
- 足のむくみ(浮腫)
2. 心臓リハビリテーションの重要性
心臓リハビリテーションは、再発予防を目的とした包括的な取り組みです。以下の流れで行われます。
- 急性期(入院治療): 病気の回復に合わせて活動を増やし、心臓に異常が出ないか確認します。
- 回復期(退院前後の練習): 日常動作の練習やCPX(心肺運動負荷試験)を行い、社会復帰を目指します。
- 生活期(再発予防): 自主的な運動療法や健康管理を継続することで、病気の再発率低下と寿命延長を目指します。
3. 自宅でできる運動療法
無理のない範囲で、体力に合った運動を行いましょう。運動強度は「ボルグ指数(ややきつい、と感じる程度)」を目安にします。理学療法の現場でも、これらの運動を継続できた方は再発予防につながるケースが多く見られます。
- 有酸素運動: ウォーキング、体操、エアロバイク(自転車こぎ)など(1日合計30分以上、できれば毎日)
- 筋力トレーニング: スクワット、かかと上げ運動など(10〜15回×3セットが目標)
注意点:食事の前後30分は運動を控えましょう。痛みが出たり不安定な場合は速やかに中止し、医療機関にご相談ください。心臓疾患をお持ちの方は、気圧の変化や室温(特に冬場の脱衣所など)によって血圧が大きく変動しやすい傾向があります。運動を始める前には必ずストレッチで身体を温め、室内環境を整えてから開始するようにしてください。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、診断や治療を代替するものではありません。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
参照:公益社団法人 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ4 心筋梗塞・心不全」